学生コラム - メッセージ・コラム
教員コラムに書くのは、なんと2016年10月以来のこととなりました。
早いもので、2004年4月に東京外国語大学に着任してから15年が経とうとしています。このキャンパスのあちこちにある桜も、あと一週間もしたら開花するでしょう。天気予報では雨が降るということでしたのに、最終講義のあいだは降ったようですが、前後はお天気に恵まれました。講義を終えて108教室から円形食堂に移動するときには、生協の前の木の床が濡れているのに驚き、雨が降っていたのだと気づきました。
最終講義では、通訳者としての私および通訳教育者として東京外国語大学でどのように歩んできたのかを、外語大以前のエピソードも交えながら話させていただきました。初めて皆さんに語ったこともありますが、「棚からぼた餅」や「亀の甲より年の功」は、授業中にも何度も登場したことばであったと思います。「豚もおだてりゃ木に登る」は今回、講義でははじめてとりあげたかもしれないですが、つくづく自分の姿になぞらえて考えました。なんでも頼まれるとあまり後先考えずに「ともかくやってみよう」と考える私が、なんとか東京外国語大学の大学院と学部に通訳プログラムをつくるという木に登って転がり落ちることなく、しがみついたままでいられたのは、落ちそうになったときにお尻を押してくれたり、手をひっぱって引き上げてくれたりした多くの人たちのあたたかいご支援のおかげです。
通訳のプログラムをこの大学で始めるにあたって大学・大学院で通訳を学ぶとはどういうことか、この問題に真正面からむかってきたつもりです。いろいろなことがありましたが、最終講義の司会および全体の運営をしてくださった内藤稔先生が、11年前に赴任されて以来、常に支えてきてくださいました。
最初、国際コミュニケーション特化コースの担当教員として着任したときから支えてくださった吉冨朝子先生。吉冨先生が昨日の記念パーティでおっしゃってくださったのは、「鶴田先生を採用したのが私の最大の功績です」というおことばでしたが、私はそれをそっくりそのまま「新崎隆子先生をはじめとする素晴らしい先生方におしえていただけたのが、私の最大の功績です」と言いたいです。
記念パーティでは、大学一年生のとき以来の友人の北代美和子先生が乾杯の音頭をとってくださって、卒業生代表で今後あとをつがれる西畑香里先生のご挨拶、さらに盟友の新崎先生の、「大学における通訳教育は理論を学ぶ、スキルを習得するだけではない、全人教育」ということば、しっかりと受け止めました。120人の卒業生のみなさんが私の宝です。大学院卒の95名、学部ゼミ卒の25名ありがとうございました。
今後、Continued Professional Development、つまりCPDとして同窓生の集まりを行っていければと思っております。
鶴田知佳子